鳶が襲う


 休日にサクラの開花を楽しみに主に川の遊歩道をウォーキングした。

 散歩、ランニング・ジョギング、楽器(A.Sax,Tb,G)の練習、ダンスの稽古、テニス、フットサル、鬼ごっこ、ピクニック、川遊び

 みな様々に待ちに待った春の到来を楽しんでいる。

 途中、店で飲み物を買って遊歩道の木陰になったベンチで休憩。 のどを潤しながら逢坂剛さんの『砕かれた鍵』を読んでいた。

 しばらくして川面に近いベンチに高校生か大学生くらいのカップルが休みにやってきた。

 パン屋さんかコンビニで買ってきたのだろうサンドウイッチを取り出してカップルのランチが始まった。

 仲の良いランチ、その景色を木の枝から虎視眈々と狙う影があった。

 トンビだ。日本では最も身近に見られるこれでも猛禽類だ。「トンビがタカを生む」というくらい当たり前の鳥だ。そうは言うもののタカより一回りも大きい勇猛な鳥で本来なら非常に警戒心が強くて近くに寄って見られるようなものでもないそうだ。

 この川は市内の中心を流れているのでこうした都市部に現れるトンビは警戒心がやや緩むらしく自分たちの食料を求めてヒトが携えてくる食べ物に寄ってくる。

 桜のこの季節、ピクニックやランチを楽しむ人が川に集まる。あるトンビは低い空で翼を広げて上昇気流を上手に掴まえ、くるりくるりと輪を書きながら、また別のトンビは木の枝から狙いすましたように鋭い眼光を発しながら獲物を狙う。

 狙いをつけた一羽のトンビが木の枝から飛び立った。カップルの背後からトンビが滑空する。羽音が聞こえないように翼を小さくして水平に近い軌跡を描きカップルの間をすり抜けるように飛んでいく。さながら戦闘機のガンファイトのようだ。

 女性の「キャーッ!!」という悲鳴が辺りに響く。本の字を追う眼が彼らに向いた時はトンビは抜けた後だった。

 でも周囲の人たちはさほど驚いた様子もなく割に平然としている。幸い彼らの食事は安泰の様子。

 狙うトンビは一度失敗したくらいでは諦めない。 ほとぼりが冷めて暫くし、カップルも落ち着きを取り戻し食事が進んで緊張が解けたその時、再びさっきと同じトンビの奇襲が彼らを襲った。

 一度目よりもより黄色い女性の悲鳴が辺りの静寂をツンざいた!

 セカンドチャレンジでトンビはまんまと作戦を成功させたのだ。驚きながらも悔しがる女性とその姿にウケる男性。

 サンドウィッチを強奪されただけで済んでよかったが、クチバシや爪で傷付きでもしようもんなら黴菌で感染する心配がある。

 ピクニックでは背後にも気をつけましょう。


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