ここで思い出した iPhoneを充電しなければ ウエストポーチに入れたモバイルバッテリーのスイッチを長押しして電源を入れた
ブブー iPhoneが充電を始めたことを知らせた よしこれでスマホのスタミナ切れは心配ない
25kmを過ぎた辺りから少しづつ足が重くなってきたのを実感し始めたがタイミングのいいことに5時間のペースランナーに追いついた
3名のペースランナーは流石に足取り軽やかに見えた 互いに談笑しながら走っているぢやないか
よしここは彼らに食らいついていくしかない
5時間ランナーに追いついたということはこの時点で約12分強の貯金ができたということだ
もう折り返しは過ぎたから行けるところまで引っ張っていってもらおうとやる気が出てきた
気が付くとペースランナーを追い越して30mほど引き離している なかなかいい調子だった 前回はこの辺で歩きたい病が脳内を襲っているころだ
少しでも貯金を殖やしておかなければとそればかり考えるようになった
ここから先は所々コースが狭くなっているところがあってランナー密度が上がり思い通りのペースで走れなくなる
だからペースランナーの前を走るのと追いかけるのでは気持ちが全く違う
30kmを越えた 前回はここで息切れして歩いてしまった でも今年はまだ走れている
でも脚はかなり痛みがやってきて腿が上がらなくなってきた 足が動かなくなって来たので今度は腕を振った
少しづつペースが落ちてくる 33kmであっけなくペースランナーに追いつかれ抜き返された ここで離されるわけにはいかない あと10㎞踏ん張れ そう自分に言い聞かせた
32kmの給水ポイントでスポールドリンクをもらったところでペースランナーを見失った 先を見るがわからない
仕方がない ここからは自分との闘いだ 幸い心配していた足の甲の痛みはなくて疲労の痛みだけだ
36kmくらいから足が悲鳴を上げ始めた どんどんペースが落ちる GARMINちゃんは7:15/kmのペースを知らせている
自然に呼吸に声が乗るようになった「ファイト ファイト」自分に暗示をかける「ファイト ファイト」
37km 前回大会でトイレ休憩に入ったところだ 今回は全然そんな欲求がない あと5km頑張れ
39kmのところで最後のなだらかな上り坂にきた「ファイト ファイト」でもまだ走っている 走ってはいるがもしかしたら速足で歩いている方が早いんじゃないだろうか でもここまで来て歩いたらその瞬間苦労が水泡に帰してしまう「ファイト ファイト」苦しみは自分次第と思い出しながら走った
この時点で4時間30分を越えた ゴール時間を計算した あと3㎞で8分/kmペースでも4時間54分でゴールできる「ファイト ファイト」歩きさえ止まりさえしなければ これはいける 「ファイト ファイト」
40kmを過ぎたところで恰幅のいい女性に抜かされた 気持ちは奮起したがもう足が前に出ない 「ファイト ファイト」腕の振りと呼吸に合わせた掛け声が往復する「ファイト ファイト」「ファイト ファイト」
あと1kmの看板を通過「ファイト ファイト」 まだ4時間45分にはなっていないあと7分でゴールだ「ファイト ファイト」「ファイト ファイト」「ファイト ファイト」
最後のカーブを曲がって50mより少し先だろうかゴールゲートが見えた「ファイト ファイト」
最後にペースを上げようとしたが無理だった「ファイト ファイト」
左手を上げてゴールラインを跨いだ(左利きだから) 「無言……」
GARMINちゃんを止めiPhoneも止めた
GARMINちゃんは42.34km 4:52:53を表示していた 競技距離は最大42.237kmだからコースとの差100m 0.24%しか違わない GARMINちゃん凄い!
ゴール地点の先で立ち止まってしばらく呆然としながら二つの目標が達成できた喜びを噛み締めた
仲間にゴールしたことを伝えフィニッシャーズタオルと完走メダルを受け取った
実はこのタオルがうれしい
大会スポンサーが用意してくれたバナナと水分補給用のドリンクをもらってドリンクを完飲 バナナは持って帰った
完走証を印刷してもらって公式記録を確かめた
記録 5:05:33
ネット 4:52:54
公式記録は叶わなかったが ネットで5時間が切れた しかもGARMINちゃんと1秒しか違わない それくらいは当たり前か でもスゴいことだ
iPhoneのタイムは5:05:51 ゴール地点でポーチから出すのに手間取っていたりしたからそんなもんだ
またiPhoneの距離は43.6kmと出ていた スタート会場では600mくらい手前からスタートしているので競技距離との誤差は800mだ
やはりGARMINちゃんの方がより正確なのだろうか?
さて前回の記録が
記録 5:09:58
ネット 5:01:46
だったので約9分縮めた これはもう大躍進だ
でもここまで来たら記録で5時間を切りたいと欲が出る さて次の大会はどうしたものか
そんなことを考えながら手荷物を受け取り着替えて仲間と落ち合って互いの健闘を称え帰路についた